第16回 「実践版 FP成功の法則」 佐藤 良道 著
| 書 名: | 実践版 FP成功の法則 ―FP業務の王道を極めたい金融人へ― |
|---|---|
| 著 者: | 佐藤 良道 |
| 出版社: | 金融財政事情研究会 (2006/11) |
| 価 格: | ¥2,520 (税込) |
| 目 次: | 第 I 部 入門編「一流のFPとなるために」 第1章 《対談》なぜ金融機関にFP業務が必要なのか 第2章 FP奮戦記――失敗と挫折を経て 第3章 FPスピリッツ――FPの本質を考える 第4章 FAQ――FPをめぐる質問に答える 第 II 部 基本編「FP相談を成功に導くポイント」 第5章 FP相談の業務と展開 第6章 FP相談に必要なスキル 第7章 FPとして心がけたいこと 第 III 部 実践編「ファイナンシャル・コンシェルジュへの道」 第8章 FP相談の種類別対応法 第9章 ケーススタディ(実務レッスン) 第 IV 部 応用編「地域金融機関とFP業務」 第10章 地域密着型金融の機能強化とFP 第11章 確定拠出年金ビジネスとFP |
【書 評】
本書は、金融商品・税務知識一辺倒の一般的なFP関連書籍とは異なり、“ヒューマン・リレーションズ”の重要性を一貫して説いている。大学で心理学を専攻し、王子信用金庫(現・城北信用金庫)では人事部研修課長、業務推進部副部長を務める傍ら、社会保険労務士の資格を取得した幅広い経験が他に類を見ない「FP成功の法則」を編み出した。
一例として第6章「FP相談に必要なスキル」をみると、傾聴力、質問力、話力、非言語能力、ツールの使い方、メモの取り方、提案書の作成といった項目が掲げられ、最後に「カウンセリングとコーチングの活用」が登場する。“知識は豊富なのに業績がいまひとつ”という銀行員は意外に多いと聞く。そうした方々が自らを真摯に振り返り、業績不振の原因を解明しつつ業績向上の一助とするのに格好の書籍といえよう。
さらに、「“わかりません”とはっきりいえるようになればFPとして一人前」「FPは“町医者”であり、“大学病院”に相当する専門家(税理士等)との連携が必要」といった著者の持論や経験論は大いに参考となる。見た目の重要性、お客様との距離や座る位置、沈黙を恐れない、時には知らない振りも必要、助言するよりも気づかせる等、随所に示される数々の「成功の法則」には驚かされ、考えさせられる部分も少なくない。
他方、専門知識を駆使した実践的解説を求める向きには、“実務レッスン”として15の主要事例を網羅した第9章「ケーススタディ」をお勧めしたい。著者が得意とする年金や税務・不動産関連の知識がふんだんに盛り込まれている。併せて、ケース4「離婚後のローン返済」ではカウンセリングで重要な“共感的理解”の必要性を、ケース15「相続時の株式譲渡制限」では会社法で創設された“売り渡し請求”の活用を紹介するなど独自性に富み、カレント・トピックスにも言及している。
第1章には金融財政事情研究会「FP養成コース」の講師として人気が高い鈴木修三税理士との対談が掲載されている。「重箱の隅をつつくような問題は税理士等の専門家に任せておいて、銀行員は司令塔として専門家を上手に生かしてほしい」「銀行員は相手の懐に飛び込める貴重な職業である」「金融機関の営業担当になる資質や素養があればFPとして十分に通用する」旨の発言に評者は勇気付けられた。この対談を読むだけでも、銀行員が日常の業務や学習を進めるうえで心強い励みとなろう。
第10章「地域密着型金融の機能強化とFP」、第11章「確定拠出年金ビジネスとFP」では、コミュニティビジネスの支援や適格退職年金廃止への対応等、地域金融機関が展開すべき方策を明快に提示した。同時に第10章では、地域再生や企業再生の担当者として、FP業務に従事していない資格取得者の活用を主張、その際にはヒューマン・スキルの活用とコンピテンシーに基づく能力開発が不可欠としている。著者の本領をいかんなく発揮した見解といえ、人事・研修担当者や部店長・役員層にもぜひ読んでいただきたい。


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