銀行員.イベント

[2009/11/10] 地域活性化のための『金融フロンティア会議』

テーマ: 〜RBS第3回地域活性化研究会〜「農商工連携による、日本の食と農業の可能性」
日  時: 2009年11月10日(火)
場  所: TKP大手町カンファレンスセンター
主  催: リッキービジネスソリューション株式会社
講演内容:  来賓挨拶 「地域金融機関への期待」
経済産業大臣政務官 高橋 千秋 氏

アドバイザリースピーチ 「金融連携による地域活性化施策の展開」
経済産業省 地域経済産業政策課長(併)地域産業活性化推進室長 
滝本 徹 氏

講演1 「地域の素材をグローカルへ」
(独)中小企業基盤整備機構 関東支部 関東地域支援事務局 統括プロジェクトマネージャー
内田 研一 氏

講演2 「世界の食糧需給と日本の農業の未来」
東京大学大学院 国際環境経済学研究室 准教授 川島 博之 氏

平成21年11月10日、弊社主催の「地域活性化のための『金融フロンティア会議』」がTKP大手町カンファレンスセンターにて開催され、地方銀行、信用金庫から40名、経済産業省、中小企業庁、関東経済産業局等政府関係者の方々11名の計51名の方にご出席をいただきました。

第3回のテーマは、「農商工連携による、日本の食と農業の可能性」。日本の食と農業が注目される中、農商工連携による地域活性化に向けた政府の具体的取組の紹介、世界の食糧事情を踏まえた日本の農業事情等について、有識者の方々から講演を頂戴しました。

経済産業大臣政務官 高橋千秋氏
▲経済産業大臣政務官 高橋千秋氏

冒頭、経済産業大臣政務官の高橋千秋様より「地域金融機関への期待」として、「先日関東経済産業局にて策定した『地域活性化のための地域金融機関との連携プログラム2009』を今後全国に展開していく中で、是非農商工連携の後押しとして活用いただきたい。」また、「農業の6次産業化(生産(一次)−加工・製造(二次)−販売・サービス(三次)産業が一体となって総合産業としての発展を目指すという考え方)というビジョンの下、技術力を有しながらもマーケティング力という点で行き詰っている農業関係者に対し、農商工連携への取組の指南役として地域金融機関に大いに期待したい。」とのメッセージがございました。

経済産業省地域経済産業政策課 滝本課長
▲経済産業省 地域経済産業政策課長
(併)地域産業活性化推進室長 
滝本 徹 氏

次に、当会議のアドバイザリーを務めていただいています経済産業省地域経済産業政策課の滝本課長様より、「金融連携による地域活性化施策の展開」と題して講演をいただき、農林水産業の90%以上が地方に存在する中、80兆円ある食関係需要の15%しか生産者に回らない構造について、「分野の壁を破って融合させることによってイノベーションを起こしていくことが重要である。地域活性化にむけて、プロ農業経営者を支援するとともに新たな事業者の参入を促し、6次産業化に向けて事業者間の活発な連携と競争を通じて、産業間連携を拡大し、付加価値を地域に還元させることを目指すべきである。」また、その中で、「地域金融機関にはトップのリーダシップのもと、真のリレバンに向けてモチベーションを高めていただく必要があり、そのためにも、金融機関職員の人材育成や企業経営者の経営力強化に向けたネットワークの整備に向けた積極的な取組を進めていきたい。」との力強い発言がございました。

独立行政法人中小企業基盤整備機構関東支部 内田統括プロジェクトマネージャー
▲独立行政法人中小企業基盤整備機構関東支部 
統括プロジェクトマネージャー 内田 研一 氏

次に、独立行政法人中小企業基盤整備機構関東支部の内田統括プロジェクトマネージャー様より、「地域の素材をグローカルへ」というタイトルで講演をいただきました。最初に、中小企業庁の支援策につき紹介をいただく中で、「農商工連携に対する支援対象は、農林漁業事業者と商工事業者が連携して新事業を始める際に、両者の協働開発による取組、及び新しい工夫・努力が求められる。また、地域資源を活用した取組に対する支援対象は、地域資源を活用した新事業を始めるに際し、地域貢献性、新規性、事業の実現性・継続性が求められることに留意していただきたい。」との説明があったほか、今後の地域農家の方向性として、「一つ目は大規模化。その中で、海外展開を視野に入れたグローバルGAPを取得することが望ましい。二つ目は、食を中心とした地域観光への取組。流通経路に展開を求めるのではなく、地元を活性化させるために観光客の呼び水となることが重要である。そして三つ目が輸出ビジネス。但し、国際展示会等での商談では決済、物流、検疫を後回しにして商談をすすめることで失敗事例が散見されることから、これらを事前にクリアしておくことが成功の鍵である。」との見解を示されました。

一方で、「国内企業を海外観光客にリンクさせるための試みとして、御徒町高架下の空間を利用し、モノづくりを行っているクリエーターの発信基地を計画しており、地域企業の東京進出への足掛かりとしても活用していきたい。」と、新たな取組についてもご紹介をいただきました。

東京大学院国際環境経済学研究室 川島准教授
▲東京大学院国際環境経済学研究室
准教授 川島 博之 氏

最後に、東京大学院国際環境経済学研究室の川島准教授より、「世界の食料需給と日本の農業の未来」というテーマで講演をいただきました。
従来の視点とは違った独特の視点で、現在の食料環境を捉えた内容であり、国内事情からの視点で捉えた場合、現在国内で国民の最大の注目を集めている食料自給率について、戦前との比較において「日本の食生活は構造的に大きく変化している。但し、摂取カロリー量は戦前においても必要摂取量を十分カバーしていたわけで、現在は大幅な供給過多の状況にあり、かなりの部分を破棄しているのが実情。つまり、消費カロリーベースで40%と言われている食料自給率を供給カロリーベースでみれば、大幅に改善されることになる。また、この70年において、平均寿命が30歳以上伸びているのは、まさに海外からの輸入食品によるバランスの改善に起因することが大きい。更に石油や鉄の自給率と比較してもその数値は高く、市場ルールの改善(関税率の引上げ等)によって劇的に改善する余地があることからも、食料自給率をテーマとした議論は意味がなく、それを煽ってはいけない。つまり、単視眼的な議論に収斂しており、合成の誤謬が全国で起きているのが実態である。」との指摘がありました。また、海外の食糧事情等からの視点においても、「世界における休耕地は15億ha(日本の国土の7-8倍)にのぼっており、米国においても日本国内同様に環境保全という名目で休耕を推奨するなど、世界的に生産調整が行われているのが実態。これは、フランスの小麦生産を例にあげれば、20世紀後半から農業効率の劇的な改善により驚異的な単収の増加が生じており(1950年の1t/1haから現在は7-8t/1ha)、これによる穀物余剰は飼料化してもその状況を改善するには至らず、政治的支援のもとダンピング輸出という形で需給のバランスを確保しようとしているのが欧米諸国共通の実情である。また、オーストラリア、カナダ、ブラジルなど先進国の一員や東欧などはまだまだ単収は低く、生産効率を上げることで食糧需給が更に緩和される余地を残しており、正直、世界の食糧需給が逼迫していると心配しているのは日本だけである。また、世界の食肉生産量が過去50年で4倍に膨れ上がっている事実をもって穀物飼料の消費量が増大することを指摘する向きもあるが、その実態は鶏肉と豚肉に限られており、豚肉に至っては今後伸びが鈍化することが予想されており、鶏肉については、穀物消費量が非常に限定的であることからも、そうした懸念は的を射たものではない。更に、人口増加が深刻な問題であるというストーリーも既に過去の話となっており、世界人口の60%を占めるパキスタン以東のアジア諸国においても人口増加率は減少してきており、これらを勘案しても、食糧事情を懸念するよりも、現在の最大の懸案事項が小子化問題であることを認識すべきだ。」との見解を示されました。更に、国内において近時大きく取り上げられている農民人口減少、農村過疎化という問題については、「先進国共通の事象であり、効率化とIT化による省力化がもたらした当然の帰結であり、それらが短期間で生じたことから政治問題にすりかえられているのが実態だ。」との指摘がありました。

最後に、バイオマスエネルギーについても言及され、「マクロ的な手法で捉えた場合、決して実用化されることはない。原料代としては化石燃料よりも高価である状況は、原油価格の上昇時においても不変であったわけで、これは1973年のオイルショックの際においても証明されている。政府を始め、あまりにも単視眼的な事象に振り回され、その場しのぎの施策を行っているのが今の日本であり、それが結果的に業務の効率性を阻害していることにも繋がっている。」との厳しい指摘がありました。



リッキービジネスソリューション(株)滝川 秀則
2009/11/10 取材)|(2009/11/18 掲載)
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