TOP > インタビュー > アイワイバンク銀行 安斎 隆 代表取締役社長インタビュー

アイワイバンク銀行 安斎 隆 代表取締役社長インタビュー


▲ アイワイバンク銀行 安斎 隆 代表取締役社長

<澁谷>

アイワイバンク銀行について簡単にご説明ください

<安斎社長>

アイワイバンク銀行は2001年4月にイトーヨーカドーから誕生し、21世紀最初の銀行として同年5月に開業しました。ビジネスモデルは提携先金融機関のお客様に当社ATMを利用していただき、提携金融機関からATMの利用手数料をいただくという手数料ビジネスです。つまりご利用いただいた分、収益が増える仕組みです。
アイワイバンク銀行のATMは人がたくさん集まるところにもありますが、セブン-イレブン店舗内にありますからどちらかというと、より生活に密着した場所に設置しています。今までの銀行はビジネス街・駅前にしかなく、窓口営業時間も午後3時までとお客様にとってとても不便でした。そこで私たちはお客様の生活の場、仕事場に近い、身近で便利な銀行を目指しました。
ATMの展開は点としてではなく面での出店を行っています。いわゆるネットワークで展開を行っています。ATMはセブン-イレブンとの連携による展開が功を奏し、ネットワークの利便性がとても向上しました。
例えば、車で移動中にセブン-イレブンがあり、通り過ぎてからお金を引き出さなければならないことに、気がついたとします。今までの銀行なら引き返さなければなりませんが、セブン-イレブンであれば少し走れば店がまた先にあり、Uターンの必要がなくなります。
これが点ではなく面での展開です。例え個別の店舗では採算がとれなくてもネットワークで採算を取ることができます。現在(2005年2月28日)、24都道府県のセブン-イレブン(9,699店舗)にATMを設置しております。セブン-イレブン地元の発展にも貢献する地域密着型のドミナント経営を行っており私たちはそのセブン-イレブンを中心にATM展開を積極的に推進しています。

<澁谷>

多くの地域金融機関との提携をされていますが。

<安斎社長>

それぞれの地域のお客様にとって利便性が向上するよう地元銀行との提携を進めています。中でも共同出張所としてのサポートですが、アイワイバンク銀行では従来の銀行が使っているネットワーク(システム)とは別に、独自のネットワークを構築しています。そのため提携先の銀行のネットワークが万一ダウンをしても、アイワイバンク銀行では通常とおり利用できます。つまりバックアップ機能としてお客様にも、提携先の銀行にもご利用いただけるようになっています。

<澁谷>

ライバル銀行と言われるネット銀行について

<安斎社長>

ネット専業銀行を競合先とは思っておりません。むしろ提携先と思っております。イーバンク銀行さんとは提携済ですし、ジャパネット銀行さんともこの4月に提携を予定しております。
ネット専業銀行は実際にお金に触れることのないバーチャル銀行ですが、アイワイバンク銀行は実際にお金に触れるリアルな銀行ですから、ビジネスモデルが全く違うんですね。ただライバルというのは存在自体はプラスになると考えています。ライバルがいないとお客様のことを考えなくなってしまいます。

<澁谷>

郵便局の民営化に対する対応策は?

<安斎社長>

郵便局も私たちにとっては競合相手ではなく、バックアップ機能としても利用いただけるので提携先として考えています。

<澁谷>

手数料が高いという声を時々聞きます。

<安斎社長>

提携銀行さんのカードを当社ATMで平日の日中、お引出しにご利用いただく場合、多くのケースで手数料は105円(税込)です。高いか安いかはバランスがとても大事です。時間と利便性と合わせて考えますと、例えば自行の銀行ATMが駅前にあり、バスを使用するお客様の場合は、バスの往復だけで400円近くとられることになります。仮に歩いたとしても時間がとても掛かります。もし歩いてすぐのところにセブン-イレブンがあった場合は、おそらくセブン-イレブンにあるATMを利用するはずです。
それとセブン-イレブンにあるATMは安全性も非常に高いのです。まず店員がいることです。「夜に人通りの少ないところにある銀行の無人ATMを使うのは怖い。」と言うお客様にとってはとても安心できます。そしてもう一つの特徴はコンビニを出入りするお客様が単なる買い物客なのか、ATMを使ってお金を引き出したお客様なのかが他の人の目から分かりにくいということです。プライバシー性も高いと言えるんではないでしょうか。

<澁谷>

ATMの今後のサービスは

<安斎社長>

今後のサービスは故障や使えない状態を無くすことだと思います。身近で便利な銀行を目指していますから常に使える状態にすることが今後の重要な課題でもあります。基本的に1店舗に1台の設置です。その1台がダウンしたと時のリスクは大きくなります。特に初めてのご利用のお客様は最初に使えないと、積極的に利用していただけなくなってしまいます。
故障の原因はいくつかあります。まず熱に弱いことです。夏などに直射日光を長時間当たるとそれが原因で故障となったATMが過去ありました。遮蔽什器を新たに取り付けたり、設置場所を移動するといった対策をとり、今ではほとんどなくなってきました。またコンビニというのは人の出入りがとても多く、紛れ込んでくるゴミ・ホコリも故障の原因になっています。この数年でどの箇所が壊れやすく故障が多いかは大体分かってきています。一日一日が改善の繰り返しです。いかに素早く修理できるか常に努力をしています。
故障の他には現金がなくなることですね。あとセブン-イレブンの店長さんが本部への送金に利用していますが、その時にお金が溢れることがあります。
こうした課題への対応策を踏まえ、次世代のATMを今年の秋から順次導入する予定です。故障もしくは磨耗しやすい部品を強化し、お金の容量を多くし、スピードも速くなっています。

<澁谷>

全国にどれくらい出店をされていますか。

<安斎社長>

全国でセブン-イレブンのある都道府県が32都道府県です。その内の24都道府県にATMが設置されています。しかし、隣の県から少しはみだした形で入っているところもあり、面として本格的な出店が出来ているのは28都道府県になっています。今は24ですが、まずは少しでも早くこの28都道府県へ展開したいと考えております。

<澁谷>

社員教育で気をつけていることは

<安斎社長>

お客様というのは厳しい要望をしてくるものです。提携先のトラブルでもATMがアイワイバンク銀行ならクレームはアイワイバンク銀行に来ます。私たちイトーヨーカドーグループでは新入社員に「君たちは昨日までお客様だったけど、今日からは逆になる。たった昨日までお客様だったその時の気持ちや感覚を忘れることなく、お客様のご要望にちゃんと応えられなければならない」と指導しています。
株式会社アイワイバンク銀行 概要(2005年2月28日現在)
本社所在地
東京都千代田区丸の内1-6-1
代表取締役社長
安斎 隆
設立
2001年4月10日
開業
2001年5月7日
資本金
610億円
発行済株式数
122万株
従業員
166人(役員、派遣スタッフ、パート社員を除く)
格付け
長期カウンターパーティ格付け「A+」
短期カウンターパーティ格付け「A-1」
アウトルック「安定的」(スタンダード&プアーズ社)
 
今後のATM展開予定(既公表)
地 域 時 期
宮崎県 平成17年4月4日
佐賀県 平成17年秋

 

今後提携予定の金融機関(既公表)
金融機関 時 期 金融機関 時 期
第四銀行 平成17年3月を目途に 西京銀行 平成17年5月頃を目途に
宮崎銀行 平成17年4月04日 イー・トレード証券 平成17年7月を目途に
長野銀行 平成17年4月19日 佐賀銀行 平成17年秋
ジャパンネット銀行 平成17年春 大光銀行 平成18年春
京葉銀行 平成17年5月頃    

 

ATM都道府県別設置状況
24都道府県(1都1道2府20県)
地 域 設置開始日
北海道 16/05/17 584台
山形県 16/04/19 114台
福島県 15/10/20 354台
茨城県 15/07/23 460台
栃木県 14/05/20 332台
群馬県 16/07/28 320台
埼玉県 13/06/18 804台
千葉県 14/02/18 759台
東京都 13/05/15 1,428台
神奈川県 14/01/21 859台
新潟県 16/03/01 298台
長野県 15/02/18 329台
静岡県 13/06/01 441台
愛知県 14/12/04 299台
滋賀県 15/02/24 138台
京都府 14/12/16 140台
大阪府 13/07/23 451台
兵庫県 13/07/27 326台
岡山県 16/12/06 161台
広島県 15/09/22 357台
山口県 16/07/09 190台
福岡県 15/03/24 631台
長崎県 16/10/26 46台
熊本県 16/03/22 145台
    合計 9,966台

 

提携金融機関数
銀行 信用金庫 信用組合 労働金庫 公社 証券会社 生命保険会社 その他金融機関
(クレジット会社等)
合計
48 241 117 13 1 2 5 40 467

(2005年2月28日 掲載)