TOP > インタビュー > 常陽銀行 鬼澤邦夫頭取インタビュー

常陽銀行 鬼澤邦夫頭取インタビュー

健全、協創、地域と共に


▲ 常陽銀行 鬼澤邦夫頭取

<澁谷>

御行の歴史、そしてお客様(個人、法人)へのPRポイントや強みについてお聞かせください。

<鬼澤頭取>

昭和10年(1935年)に、前身の「常磐銀行」「五十銀行」の合併により「常陽銀行」が誕生して以来、今年の7月で創立72周年を迎えました。創業という意味では、来年が130周年になります。合併前の前身銀行である常磐銀行、五十銀行が、それぞれ第六十二国立銀行および第五十国立銀行として、明治11年に創業しているからです。
当行は、「健全、協創、地域と共に」という経営理念のもと、「地域金融機関として、地域のお客様のために、また地域のために何ができるのか」ということを懸命に考え、お客さまに心から満足していただけるよう、様々な施策を展開しております。当行の地元茨城県は、平成17年8月に開通した"つくばエクスプレス"をはじめ、高速道路・空港・港湾の整備など、多くのプロジェクトが予定されており、非常に発展性の高い地域であります。つくばエクスプレスの開通以降、茨城県内の住宅着工件数は17年度・18年度とも約2万8千戸と高い水準を維持しており、住宅資金ニーズに幅広く対応するため、お客様のご希望に合わせた「完全固定金利型住宅ローン」など、様々な商品を取扱っています。
また、茨城県は農業生産高全国3位の農業大県であり、地場産品の販路拡大支援を行う観点から、生産・流通・小売業者の出会いの場としての「食の商談会」をこれまでに5回開催するなど、"アグリビジネス"に取組んでおり、お客様からも好評を頂いております。
一方、平成19年1月には「地銀共同化システム」の稼動を開始しました。地方銀行4行と三菱東京UFJ銀行、日本IBM(株)とともに主要な勘定系と情報系を共同化した本システムの稼動により、システムコストを大幅に削減することができます。また、新業務、新制度、新技術への対応力を強化し、これまで以上にお客様のニーズに会った総合金融サービスをご提供できることとなりました。こうした取組みが地域のお客様から評価をいただき、現在の地域シェア(19/3末預金:40.70%、貸出金:41.87%)に結びついているものと考えています。

<澁谷>

平成19年度は第9次中期経営計画(17~19年度)にあたりますが、現在の進捗状況についてお聞かせ下さい。

<鬼澤頭取>

第9次中期経営計画では、「質の高い総合金融サービス業」を目指し、「収益力の強化(粗利益の増強)」「経営管理の高度化」「組織力の向上」の3つを基本目標に掲げ、諸施策に取り組んでいるところです。 中計の中間年度にあたる18年度は、地元貸出金の増強、預り資産営業の強化等、積極的な取組みを進めた結果、預貸金残高、預り資産残高とも堅調に推移しました。なかでも住宅ローンはTX沿線地区や水戸地区を中心に順調に伸び、融資残高で前年度比546億円増加し8,706億円となり、また預り資産は、「J's-ACT」と呼ぶ預り資産専担者の配置(18年度16名配置)も奏功し、残高は1兆円を超え、中計で計画した目標(1兆1千億円)を約1年前倒しで達成するなど好調であります。
利益水準については、海外短期金利の上昇に伴う外貨調達コスト増加による減益要因等がありましたが、投信販売が引続き順調であったことや信用コストが大きく減少したこと等により、業務純利益、経常利益ともに、当初計画(公表値)を上回る実績となりました。
19年度は、第9次中期経営計画の最終年度であり、引続き地元貸出金増強に注力するほか、預り資産の取組強化などに取組んでおります。

<澁谷>

質の向上について強調されていますね。

<鬼澤頭取>

顧客保護や説明責任について強く言われていますが、まずはお客さまに商品の内容を納得していただくことが前提となります。例えば投資信託にしても、お客さまが本当に欲しいものをご提供する事ができるよう品揃えの充実に加えて、質の高い説明を行わなければなりません。
また法人とのお取引において、「金利」は取引条件の一つではありますが、金利の負担を超えるような形で、お客様に対して質の高いコンサルティングやご提案をすることも、大きな要件であると思っています。

<澁谷>

企業経営者が、金利を費用ではなく投資と考えられるようになると良いですね。

<鬼澤頭取>

そうですね。例えば、1億円のお貸出をして金利が0.5%の違いがある場合、銀行に支払う費用の差は年間50万円ですが、銀行から50万円以上の提案を受ければ、お客さまは金利が高いからと取引をしないことにはならないと考えています。これは銀行が生き残るための大きな要素になると思います。

<澁谷>

基本目標にある、「組織力の向上」について教えていただけますか。

<鬼澤頭取>

組織力を向上するための基本は1人1人の技術をあげることですが、最終的に企業体としてレベルアップするには、その1人1人が有機体として結びついていなければいけません。
私は野球が好きで、日本のプロ野球の強豪チームについて自分なりに分析をしました。強豪チームというのは、スーパースターがいたのはもちろんですが、自分の役割をきちんと果たす名脇役がいて、また、嫌われるのを覚悟で徹底的な管理をする監督がいて、さらに熱烈に応援してくれたファンがいたこと、この4つがあってはじめて強くなれたのだと思います。銀行の仕事も同じです。「強力な営業力」と「きちんと仕事をこなす脇役陣」、「毅然としたリーダーシップ」、そして「サポーターとしての熱烈なお客様」、この4つがそろえば、良い成績はついてくるのだと考えています。

<澁谷>

つくばエクスプレス始め、交通基盤・拡充が実施・予定されていますが、御行の営業エリア戦略についてお聞かせください。

<鬼澤頭取>

つくばエクスプレス(TX)の開業から2年が経ちました。この間、TXの波及効果が着実に浸透してきており、つくば市や守谷市などの地域では地価が上昇したり、分譲マンションや大型商業施設等が建設されるなど、沿線開発は順調に進んでおります。
当行としては、大型ショッピングセンターや住宅団地の開発、マンション建設が急ピッチで進んでいるTX沿線を、今後の成長が確実な地域と位置付け、住宅ローンと預り資産を中心に取組強化を図ってまいります。
沿線開発の進展を踏まえ、今年7月9日、流山おおたかの森駅前に、9年ぶりの有人店舗となる個人総合金融相談拠点「Jプラザ流山おおたかの森」を開設いたしました。また同時に、法人先の開拓を目的とした「東葛法人営業所」を併設し、今後もTX沿線を中心に経営資源を投入していきたいと思います。加えて顧客基盤の一層の拡充、金融資産囲い込みのため、県内中核エリアにも人員投入を検討していきたいと考えています。
一方、北関東3県を横断する北関東自動車道ですが、群馬県の高崎まで全面開通するのは2012年と少し先となりますが、栃木県の東北道につながるのは2年後の2009年ともうすぐです。
今までは北関東からの輸出には、東京港や横浜港が使われるケースが大半でしたが、北関東自動車道は常陸那珂港という国際港湾と直結し北米などへの輸出港となっていることから、これからは時間とコストの点でメリットがあると考えられます。既に大手建機メーカー2社が常陸那珂港に主力工場を移しましたが、今後も、こうした動きが出てくることが十分予想されます。当行としては、企業誘致や物流基盤整備の点で、県や関係機関・企業などと一層の連携強化を図っていく方針です。 さらに、百里基地に民間共用施設として茨城空港が2009年に開港される予定であり、また東関東自動車道や首都圏中央自動車道が整備されることにより、それぞれ、水戸~茨城空港間やつくば~成田間のアクセスが格段に向上することになります。該当地域の物流や人口動態などを幾つかシュミレーションしながら、資源の再配置を行う上での参考にしてまいります。 今後、陸・海・空と県内の交通基盤の整備・拡充に伴い、経済圏の一層の拡大が予想されることから、経済環境の変化を踏まえ、営業エリアの拡大を図っていきたいと考えています。

<澁谷>

20年上期を目途に、証券子会社を設立されるとのことですが、銀行の金融サービスのワンストップ化を目指す戦略についてお聞かせください。

<鬼澤頭取>

このたび常陽銀行100%出資(資本金30億円)により、水戸市を本店とする常陽証券株式会社を設立することとしました。現在当局に事前認可申請中であり、来年上期の開業を目指しております。
常陽銀行グループでは、これまでも常陽銀行を中心にリース、クレジット、コンサルティング業務など幅広い金融サービスの提供に努めてまいりましたが、お客様のニーズの一層の多様化を踏まえて、証券子会社を設立することとしたものであり、総合金融サービス業としてのさらなるブランド向上を図ってまいりたいと思います。
具体的には、地域のお客様への総合的な金融サービスを提供するとともに、金融商品・サービスのワンストップ化による利便性の向上を目指していきます。
銀行及び証券の各機能を活用し、お客様のニーズにあった最適な金融商品・サービスを提供するとともに、銀行窓口、証券との共同店舗、インターネット、コールセンター等様々なチャネルを活用することにより、金融商品・サービスのワンストップ化を目指す戦略です。
その結果、お客様にはライフサイクルに応じてより幅広い金融商品・サービスの提供を受けていただけることとなり、また必要な手続きを常陽銀行グループ内で完結できることや、提供を受けた金融商品・サービスの結果を一元的に受けることが可能となります。
事業内容としましては、法人のお客様には、証券機能を活用した資産運用・資金調達のご提案のほか、証券化・事業承継・M&A等投資銀行業務を強化してまいります。また、地域産業活性化のため、地域内の有望な事業・技術について起業化や株式公開をご支援していきたいと思います。
また個人のお客様には、証券機能を活用した多様な金融商品の提供を通じ、資産運用業務の一層の強化を図るとともに、お客様ごとに最適な金融資産のポートフォリオの提案を行い、お客様の資産形成をご支援していきます。 新たに証券子会社を設立することにより、常陽銀行グループ全体で、銀行窓口を中心に幅広いお客様に対して、総合的な金融商品・サービスをタイムリーに提供することができ、常陽銀行グループ全体でのお客様の利便性向上が図れることとなります。当然ではありますが、私ども常陽銀行グループ全体が提供する各種金融商品・サービスのすべてについて、一定の高い品質を維持していくことを目指し努力し続けていきたいと思います。

<澁谷>

御行のエリアには研究学園都市もあり、研究活動が非常に活発かと思いますが、新事業創業やベンチャー育成への取り組みについて、お聞かせ下さい。

<鬼澤頭取>

研究学園都市のあるつくば地区は、筑波大学や旧国立研究所などをはじめ官・民の多くの研究機関が集積しており、つくばエクスプレスの開通により一層の発展が見込まれております。
筑波大学発および産業技術総合研究所発のベンチャー企業など、その数は着実に増加しており、例えば筑波大学は大学別のベンチャー企業数において毎年上位にランキングされております。
当行はこれまで、本部およびつくば地区の拠点にベンチャー企業担当者を配置し、つくば地区にある多くの研究・支援機関と産学官の連携を図りながら、新事業創業・ベンチャー育成への支援・アドバイスなどを行ってまいりました。 具体的な取組みといたしましては、創業期の事業に対しては補助金申請支援およびベンチャー企業支援融資などの公的融資制度の活用支援などを行っております。また、事業の活動・進捗に応じて「いばらきベンチャー企業育成ファンド」などへのご紹介および当行が直接企業の株式をお引き受けする等の「投資」によるご支援も行っております。 さらに、当行取引先へのビジネスマッチングによる販路開拓および常陽銀行グループ企業・外部支援機関を活用した情報提供・アドバイスなど、資金調達以外の企業ニーズに対しても総合的な金融サービスの提供・支援を積極的に実施しております。 なお、産官学の連携強化を図り、地域の産業・経済の活性化を積極的に支援していくため、各外部機関(日本政策投資銀行・茨城県中小企業振興公社・商工組合中央金庫・農林漁業金融金庫・中小企業金融金庫・筑波大学・茨城大学・産業技術総合研究所)と業務提携に関する協定書を締結しております。

<澁谷>

今後、企業経営者から求められる地方銀行のあり方、機能とはどのようなものでしょうか。

<鬼澤頭取>

「健全・協創・地域とともに」という経営理念のもと、堅実な営業、健全な経営を行い、地域へ円滑に金融機能・金融サービスを提供することを通じて、地域社会・地域経済の発展に貢献していくことが、地域金融機関としての社会的使命であり、求められる地方銀行のあり方、機能であると考えております。
その社会的使命を果たしていくとともに、お客様の利便性向上や顧客保護の態勢整備を通じて「お客様満足度(CS)の向上」および「収益性・健全性向上による企業価値の向上」に取り組み、「質の高い総合金融サービス業」への進化を実現していきたいと思います。
例えば、法人のお客さまに対しましては、資金ニーズに積極的にお応えし、シンジケートローンの組成や私募債の受託など、多様な資金調達手段を提供していくことは当然ですが、加えて事業承継やビジネスマッチングなどの提案力も強化していかなければなりません。
また、企業間のビジネスマッチングのために各種「交流会」を企画実施したり、地場産品の販路拡大のために「食の商談会」を開催するなど、様々な角度から企業への支援業務推進に取り組んでおります。さらに茨城県との連携による「産業視察会」を実施するなど、茨城県の将来性・発展性を広くPRし、県外からの企業進出の促進を図るなど、幅広い活動を行っております。
地域への円滑な金融サービスの提供を通じて地域社会、地域経済の発展に資することはもとより、地域とのリレーションシップ構築が大変重要な使命であると思います。地方銀行としての目指すべき姿は、お客様との信頼関係をより確かなものとし、地域とともに「質の高い総合金融サービス業」への進化を実現しくことであると考えています。

<澁谷>

頭取になられて最も注力してきたことをお聞かせください。

<鬼澤頭取>

銀行としての目標は、現在の中期経営計画に組み込んであり、まずは、中計の目標を達成することが最優先課題であります。
それを補足する手段として、時間の許す限りお客様および行員とコミュニケーションを図ることを心がけてきました。 「経営は、まず現場を知ることから」を徹底してきたつもりです。お互いの意思疎通を図る手段は、IT機器の進展により相当に便利になってはきましたが、今でも直接の対話に勝る手段はないと思っております。
寺院の梵鐘は、空ろに叩けば空ろに返ってきますが、真剣に叩けばその通りに返ってまいります。同様に、人との対話も真剣な態度で接すれば必ず得るものがあると思っています。
営業拠点に対しましては、2年間で全店の訪問を完了しました。全拠点において必ず意見交換会を行い、現場の声に耳を傾け、また、こちらの考えも伝えてきました。現在二回り目を開始したところですが、とても大切なふれあいとなり、効果も十分ありますことから、今後も継続していきたいと考えています。
また、私はお客さまを訪問した際には、必ず面談の状況を自分で記録して保管しています。これは後で読み返すことによって、お客さまとの記憶が鮮明になり、この記録がコミュニケーションをとるのに非常に役立っているからです。 「誰でもできる事をやり続けること」が大切であると思います。

<澁谷>

御行のCSR活動について、ご説明ください。

<鬼澤頭取>


▲ 環境保全への取り組み

「地域とのふれあい」について

平成6年10月、行員個々人のボランティア活動を企業として支援するため、「常陽ボランティア倶楽部」を設立しました。約3,200名の会員が福祉関連、環境問題、国際交流、スポーツ指導、地域振興、イベント参加などの各分野に登録し、それぞれ活動を行っています。
また、毎年「タオル一人1本提供運動」を実施しており、これまでに7万本を超える未使用タオルを福祉施設等に寄贈しています。
各拠点では、一部店一貢献運動に取り組み、地域のお祭りやスポーツ大会、総合防災訓練への参加、クリーン作戦などの環境保全活動、福祉施設への慰問など、独自に地域貢献活動を行っています。
また、昭和59年より視覚障害者協会などへ点字カレンダーの贈呈、平成2年より茨城県近代美術館へ図録の寄贈、さらに平成17年より毎年4月に茨城県内およびいわき市内の小学生1年生全員に防犯ブザーを贈呈してます。

「環境保全への取り組み」について

平成4年10月に日本火災海上保険(現日本興亜損害保険(株))などと共同で1億円を出捐、公益信託「エコーいばらき」環境保全基金を設定しました。この基金は、茨城県内における環境保全に関する事業に対して助成を行い、緑豊かな自然環境と快適で潤いのある生活環境の創造を図り、地域社会の発展と振興に寄与することを目的としています。
基金設定後も環境保全という趣旨にご賛同をいただいた企業や個人の方々から寄付金が寄せられ、平成19年3月末現在の基金財産額は1億78百万円に達しています。平成18年度は42先に対して総額500万円の助成金を贈呈、これまで305先の学校・団体に対し4,091万円の助成を行いました。
地域の環境保全に貢献し、環境保全に取り組む企業を積極的に支援するため、環境関連の商品(常陽エコ・セレクトローン、エコ住宅に対する金利優遇住宅ローン)を取り扱っています。
また、当行の関連会社である(株)常陽産業研究所では、環境に関する国際規格ISO14001の認証取得支援説明会を開催しているほか、個別のコンサルティングを実施し、お取引先のISO取得支援に取り組んでいます。
平成19年3月、環境にやさしい取り組みを行う事業所を茨城県に登録する「茨城エコ事業所登録制度」に金融機関として初めて認定されました。

<澁谷>

若手行員の方々に期待することをお聞かせください。

<鬼澤頭取>

若手行員に期待することは数多くありますが、中でも次の3項目については機会を捉えて、伝えていることが多いと思います。

銀行で仕事をすることの意義について

仕事をするということは、もちろん生活の糧を得ることが第一義であると思いますが、それに加えて自分の仕事が何らかの形で社会的に意義があるということも重要であります。
その点で銀行は、世の中の経済的動脈としての役割を果たしており、社会的意義は大きいものがあり、社会にとって必要不可欠な存在であります。まず、このことを意識の根底に据えることが大切であると思います。
この意識を保持していれば、職業人としての矜持も生まれてきますし、仕事での悩みや苦しみを跳ね返すバネにもなります。また、コンプライアンスでの判断に迷いもなくなる筈であると思います。

理解力・表現力・実行力を磨くこと

人間の能力を判断する際の切り口は幾つかありますが、若手時代に磨いておくべき能力は、理解力・表現力・実行力であると思います。
理解力は仕事に必要となる知識を自分の頭の中に整理しておくことが前提となります。知識の引き出しの数と内容を増やすことが理解力を高める源泉となります。次に表現力ですが、頭の中に入れた知識を表現し、伝えなければ単なる物知りで終わってしまいます。仕事を進める上では相手に伝えたい内容を正確に、かつメリハリをつけて表現することが重要となります。そのためには説明話法や資料作成などのプレゼンテーション力を高めることが必要となります。
そして最後に、実行力でありますが、計画を作った後はそれを実行することが要求されます。
偏差値には理解力しか反映されませんが、仕事をする上では、その上に表現力と実行力が必要となるということです。

継続する力を養うこと

スポーツの世界では「継続こそ力なり」とよく言われますが、これは一般社会人にも当てはまる格言だと思います。仕事に関する勉強や人間の幅を拡げる教養などは、コツコツと積み上げて行くことが現実的です。社会人となると自分の自由になる時間は限られてくるからです。
毎日1時間の時間を作るのは難しくても、10分であれば何とかなる筈であり、これを継続して行けば1週間では1時間となるわけです。
3日でやめるのは3日坊主ですが、3ヶ月続けたら何かができる人に、3年続けたら何かをやった人になると若い人には伝えています。

<澁谷>

最後に、今後女性に期待することは何でしょうか。

<鬼澤頭取>

現在、預り資産の分野で特に女性が活躍しておりまして、この分野は今後銀行の大きな柱となるでしょう。女性は、几帳面さ、丁寧さ、折衝の技術、粘り強さ、感性といった点で非常に優れていると思います。女性の活躍の場はどんどん広がっていますので、銀行としましては、研修等に力を入れ応援していきたいと思っています。

(2007/08/29 取材 | 2007/11/01 掲載)