先週雨が降り、地元新聞の記事になりました。
5月から10月初めまで、まず傘が不要の当地シリコンバレー(SV)にあっては珍しいことです。当地でもこの数年で従来の気候が少し変わった感じがします。とは言え、抜けるような青空は、米国内のみならず、世界中からのチャレンジャーをひき付ける最大の要素になっているようです。
最近、めっきりとバイオ関係にお株を奪われた感じのSVでの投資環境ですが、明日を夢見るIT起業家の夢は途切れることがありません。
IT分野での最近の話題は携帯電話のコンテンツサービス事業でしょう。数年前には拳銃かと思われる不細工で大きな黒塗りの携帯電話を皆、腰にぶら下げていました。昨年度が米国での携帯電話爆発元年だと言われています。携帯先進国日本からの、さまざまな携帯関係のサービスが津波のように押し寄せました。日本からの進出も多く、日系の携帯コンテンツ起業家がわんさと押しかけ、あっという間に単音の着メロが、一曲二ドルの複数音の着メロ(リングトーン)になりました。リングトーンの音楽はさすがにヒップホップ系が上位のようです。
そのうちの一社、I社の話です。日本での着メロ製作と配信の経験を引っさげてSVでの起業が開始されました。
三ヶ月ごとにどんどん新しくなる携帯電話端末のおかげでリングトーンが飛ぶように売れ、客先が大手の携帯電話会社だけに回収のリスクもなく、順調に大きくなるやに見えました。そしてI社の二度目の増資の際、若干の出資に参加しました。
ところが大手電話会社のATTの不振が引き金となり、携帯電話会社の合従連衡が始まりました。整理統合が短期間で進み、客である大手携帯電話会社の数は数社になってしまいました。当然、携帯コンテンツサービス会社も淘汰が始まります。
更に、激しい価格競争のため急激に収益が低下して、通常の音声サービスでは携帯電話会社は立ち行かなくなりました。携帯電話会社が目をつけたのが、まだ収益率が高い自社によるリングトーン、マスタートーン(着歌のことです)の運営、それに伴う製作下請け会社の絞込みです。
日本での携帯電話会社とコンテンツサービス会社の協調的なパートナーの関係は米国には未だ存在していません。
電話会社は圧倒的な強さで独自の道を進み、容赦なく下請けに難題を突きつけます。着メロや、着歌、等のコンテンツ提供会社に大幅なサービス提供のコストの引き下げと、携帯会社の収益の取り分の大幅なアップ要求です。
一方、当地に本社を置くアップルがiPod等により、一曲フルで一ドル前後の音楽を楽しめるようになりました。手軽に聴く音楽の入手先も広がった訳です。
携帯電話会社を客先とした着メロサービスはコンテンツサービス会社の収益モデルとしては既に終わりました。
まさに、日本で5−6年かけて生じた携帯電話サービスの変遷が米国ではほぼ一年半ほどで起きてしまったことになります。
米国での携帯電話の普及スピードは驚異的です。日本と違って電話を受け取る側(着信側)にも課金される等、米国市場での携帯電話の普及にはかなりの障害がある、と見ていましたが、完全に読み違えました。米国での携帯電話市場は完全に爆発状態です。
携帯端末が日本や韓国での最新モデルに追いついたこと、端末そのものや、サービス料金が大幅に値下げされたことが発端でした。更に、本来話し好きの米国人にとって携帯は寂しさを紛らわせたり、自分に友人が多いことを強調したりする最適なおもちゃになったようです。車を運転しながら、歩きながら携帯を利用する人が大変多くなっています。
さてI社はどのような形で生き残るか、現在幹部は、本当に頭を痛めての戦略見直しに入っています。華々しく進出した日系の競争他社もほとんど同じ状態でしょう。
携帯電話会社に擦り寄って、身をゆだねるか、ウエブでのサイトを利用して莫大な広告を打って勝負に出るか、それとも新しいモデルを考え出すか?
残念ながら我々の世代には今の状況に対応する発想はできそうもありません。
只、何を売ろうが会社の経営は同じです。それを信じて、夢を持って訪れる日本からの起業家を今後も支援していきたいと考えています。 |