銀行員.CSR
南都銀行のCSRに見る地方銀行のあるべき姿 森林の保全と地域産業の活性化をめざす活動

南都銀行は、平成20年4月にスタートさせた中期経営計画において、非財務面での企業価値を高めていくため、重点戦略の一つに「CSRの推進」を掲げ、同年6月には、CSRに関する企画・統括を行う「CSRグループ」を新設するなど、より一層積極的に環境活動や社会貢献活動に取り組み、さらに地域社会や地元経済の活性化を推進することとしています。

同行はCSRのキーワードとして、「環境保全活動の推進」、「社会貢献活動の推進」、「CSRの組織化」、「CSRに関する情報開示の充実」の4つを掲げており、中でも「環境保全活動の推進」において、以下のとおり特徴的な活動に取り組んでいます。 第一の取組みとして、平成20年10月に奈良県と締結した「産業振興に関する包括的な連携協定」に基づく実務者級の「森林・木材業振興に関する情報交換会」を立ち上げ、この会を通じ、県の森林保全事業へのボランティア派遣や各種イベントへの協力など、森林や地球環境の保全、県産材の利用促進、地域産業の活性化に向けた活動に取り組んでいます。

第二の取組みは、林野庁が平成17年度に取り組みを開始した国民運動である「木づかい運動」への参加です。この運動は、国産材の積極的な利用を通じて山村を活性化し、荒廃した森林を整備することにより、CO2をたっぷりと吸収する元気な森作りを進め、京都議定書における温室効果ガスの削減目標6%のうち森林の吸収分として割り当てられた3.8%分の達成を目指すものです。南都銀行は、平成20年11月に銀行業界としては初めてこの運動のロゴマークの使用承認を受け、奈良県吉野産の間伐材を製紙原料に活用した「3.9ペーパー」の使用や、吉野杉の端材を使った割り箸の購入・配布により、木づかいの大切さをアピールしています。


▲ 吉野杉の端材を使った箸(クリックして拡大)

そして、第三の取組みが、「Yoshino Heart プロジェクト」です。これは、マーケティング会社であるハートツリー株式会社が企画・運営するプロジェクトで、吉野産の杉やヒノキ等の木材を利用した木製品に冠する「Yoshino Heart」というブランドの普及を通じて、間伐材を含む吉野産材の利用を促進することにより、1.森林の整備とCO2吸収量の増大による地球環境保全、2.吉野の林業関連産業の活発化、等をめざす動きで、プロジェクトによる収益の一部は植樹や間伐等の森林整備に役立てるというものです。


▲ Yoshino Heart プロジェクト スキーム図

▲ 吉野での植樹活動

▲ Yoshino Heart プロジェクト ロゴ

南都銀行は、その具体的支援の第一弾として、平成21年3月、首都圏に82店舗を展開する「ナチュラルローソン」に吉野ヒノキ製の「広告入り割り箸(アド箸)」14万膳を提供し、これを媒体として、社団法人平城遷都1300年記念事業協会とのタイアップによる「平城遷都1300年祭」(平成22年1月〜12月開催)のPRを展開しました。 同行は、その後もハートツリー社ならびに奈良県などの自治体、商工会、各種組合等と連携しつつ、取引先をはじめとする地元の関連事業者に広く同プロジェクトの参加を呼びかけるとともに、同行主催の各種イベントや店頭において「Yoshino Heartブランド」の木製品を配布するなど、さまざまな方面から同プロジェクトの応援・支援策を展開しています。


▲ 吉野ヒノキ製の「広告入り割り箸(アド箸)」(クリックして拡大)

これらの活動は、奈良県の77%を占める森林が、
1. 95%が民有林である、
2. 人工林が全体の59%を占める、
3. 人工林の74%が間伐を必要としている
という現状にあり、「吉野」に代表される伝統産業の林業が、担い手の減少と高齢化、木材価格の低迷等により衰退し、森林荒廃の進行が深刻化してきているという事実に対し、地元の金融機関として真剣に向かい合うべきだという、同行の地域経済や環境に対する強い信念の表れだと思います。

こうした問題は、奈良県特有のものでなく、全国各地が抱える問題です。

南都銀行が取り組むCSRの具体的な活動の中に、地方銀行に求められる本来の役割があり、そこに地方銀行のあるべき姿が見えてきたような気がしています。

リッキービジネスソリューション(株)滝川 秀則
2009/07/15 掲載)
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