オーストラリア通信-豪州株式投資を通して見える豪州よもやま話-

第12回 オーストラリアのメディア王ケリー・パッカー氏

年末のオーストラリアのトップニュースは大富豪である「メディア王ケリー・パッカー氏死去」の報道でした。12月26日夜、シドニー市内の自宅で病気で亡くなられ、68歳の短い人生でした。

テレビネットワーク「チャンネル9」、雑誌、インターネット関連企業、メルボルンとパースのカジノを傘下に抱える上場会社”パブリッシング・アンド・ブロードキャスティング(PBL)”のCEOで、スキー場や肉牛飼育施設、石油化学、不動産投資など幅広い事業の権益を有し、最近では香港を拠点とするマカオのカジノ王スタンレー・ホー氏とカジノ開発にも乗り出していました。その幅広い事業欲はオーストラリアで最高の経営者としても有名でした。

またオーストラリアの経済誌”BRW”では、オーストラリアで一番の資産家といわれ、パッカー氏の総資産は約69億オーストラリアドル(約5900億円)と書かれていました。

パッカー氏を大事業家(投資家)として特に有名にしたエピソードは、1987年シドニーとメルボルンにある「チャンネル9」の系列局を、起業家アラン・ボンド氏に8億5500万オーストラリアドル(約730億円)で売却したことです。しかし、その後ボンド氏の資産価値が1990年代に低下すると、(その後ボンド氏は自己破産)売却した系列2局をわずか2億オーストラリアドル(約170億円)で買い戻したうえ、新たに2局買収しました。この「チャンネル9」の放送局は、スポーツの独占放映権をもっているので、スポーツが盛んなオーストラリアでは高視聴率を得ています。パッカー氏自身、ボクシング、ポロ、ゴルフ(シングルの腕前)など学生時代からスポーツが大好きでした。また、一生懸命スポーツに励んだもうひとつの理由は幼い時からのいくつかの持病があり「50歳まで生きられない」といわれていたそうです。

しかし、スポーツで鍛えた身体もここ15年間は大きな健康問題に見舞われ、1990年と1995年に心臓発作を起こし、2000年には自社のヘリコプター操縦士から提供された腎臓の生体移植を受けました。またポロ競技中に起こした心臓発作では、蘇生するまで8分間仮死状態となり、オーストラリア中がその回復に注目しました。

パッカー氏の死後、長男ジェームズさんがPBLのCEOとなり事業を後継していくようです。PBLの経営も今後は変わっていくようだとアナリストは指摘しています。今までの事業収益は約50%がカジノ、約25%がメディア、残りの約25%が出版からの収入でしたが、ジェームスさんはカジノ業を拡大していくようです。パッカー氏が一番好きなスポーツ放映権のテレビ事業は売却されるのではないかとも憶測されています。偉大な経営者を失った今後のPBLの経営にも注目です。

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