オーストラリア通信-豪州株式投資を通して見える豪州よもやま話-

第17回 オーストラリアナショナル銀行の為替トレーダーのその後

突然ですが、みなさんは、ユアン・マクレガー主演の金融サスペンス、英国名門銀行を破綻に追い込んだ実在の元トレーダー、ニック・リーソンの映画「マネートレーダ/銀行崩壊(1998年英)」をみたことがありますか?

舞台はシンガポール国際金融取引所、ニックはベアリングズ銀行の先物取引部門責任者に抜擢され、赴任して1年後には銀行の全利益の10%を稼ぎ出すまでになっていた凄腕トレーダー。しかし、1995年1月、阪神淡路大震災で日本市場が暴落した時、彼は一日で5,000万ポンドもの損失を出してしまいました。その後、持ち直すかと見られた相場も下げ止まらず、損失を取り返そうと賭けに出たニックの思惑は外れ、架空取引口座の損失は加速度的に膨れ上がり、最後にはしシンガポールからボルネオに逃亡。事件が明るみに出てみると、損失は約8.6億ポンド(約1,380億円)という莫大な額に膨れ上がっていたという実話です。

この事件を彷彿させる金融スキャンダルがオーストラリア最大の銀行であるオーストラリアナショナル銀行(NAB)で2004年に起こりました。

2003年9月から2004年1月、メルボルン本社ビルのトレーディングルームで働く3人の外国為替トレーダーとロンドン支店の1人のトレーダーは、2003年10月のロンドン市場での損失を隠すために、規定外のディーリングを続けたのですが、結局、損失はどんどん膨れ上がり、最終的に、$180Million AUD(約160億円:ナショナル銀行の年間利益の約3%にあたるそうです)の損失をだしてしまいました。ちなみに、オーストラリアドルとニュージーランドドルのオプション取引がメインだったそうです。

当時、この事件は、金融スキャンダルとして、マスコミ大きく報じられていましたが、現在ではほとんど話題になっていません。忘れている人も多いかもしれませんね。
日本のワイドショーのようです。

しかし、先月、フィナンシャル新聞で、当時のトレーダーたちに有罪判決が下されたとの記事をみつけました。4人のトレーダーは、有罪実刑(詐欺罪)で、それぞれ16ヶ月の懲役、トレーダーたちの直属の上司は29ヶ月の懲役判決が下されました。
ちなみに、映画のニック・リーソンは懲役6年半の実刑判決(詐欺罪)でした。

このトレーダーたちは20代後半から30代半ばなので、まだまだ未来のある年齢です。
ナショナル銀行では再雇用はしないそうですが、彼らが出所後どうするのか興味津々です。

2006/08/24 掲載)
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