英国近況報告

第1回 シティ・オブ・ロンドン -国際金融センターの素顔-

2004年11月13日の土曜日、寒風が吹くも青く晴れ渡った空の下で、ロンドンの市内を、さながらカーニバルのようなパレードが練り歩きました。800年もの伝統を持つといわれるロード・メイヤーズ・ショウ(The Lord Mayor's Show)です。パレードの最後尾にいるのは、煌びやかな馬車に乗り、赤いガウンに身を包んだロンドン市の首長、ロード・メイヤーです。このショウは、ロンドン市(The City of London)が国王から自治を認められる代わりに、王権に対して忠誠を誓うことを示す行事として引き継がれています。パレードに参加するのはロンドンの市民達であり、職人や商人の団体が、誇らしげに沿道に手を振ります。

その中にあって目を引くのは、現代の商人として、シティ・オブ・ロンドンの繁栄を支える金融機関です。 金融サービスは、イギリスが今日も世界的な競争力を有する数少ない産業の一つと言われています。国際金融センターとしてのロンドンを今も担い続ける、シティの自治の伝統を、このロード・メイヤーズ・ショウに垣間見たような思いがしました。

2003年に、ロンドン市が研究機関に委託して、ニューヨーク、ロンドン、パリ、フランクフルトの四都市について、金融センターとしての競争力を調査したことがありました。総合的な競争力としては、ロンドンはニューヨークに若干及ばないものの、パリ、フランクフルトには大きな差をつけてリードしているとの結果が出ました。そして特に、規制環境については、ニューヨークをも上回りロンドンがトップと評価されたのです。それはまさに、ロンドンの金融界の自治の伝統に根ざすものに他なりません。

私は、昨年の夏より、日本の財務省からの出向で、英国の財務省(Her Majesty's Treasury)において勤務しています。日本の財務省(旧大蔵省)及び金融庁において、英国をモデルにした金融システム改革(「日本版ビッグ・バン」)や、「金融サービス法」構想にも携わってきました。英国の金融行政の実態とはどのようなものか。日本には何が求められるのか。それは今回の赴任にあたって特に関心を抱いている分野の一つです。次回以降、英国政府の中での体験を通じて、英国の経済・金融の姿について御報告していきたいと思います。宜しくお願いします。

著者:高田 英樹
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