英国の中小企業金融

第3回 英国の中小企業向け金融

英中央銀行とBBAの協同調査によると、2003年度の当座貸し越しを含む中小企業向け民間金融機関貸付は、約28億ポンド増加(10.4%増)して298億ポンドに達しました。これは前述の起業数の増加を反映したものと言えます。

また、IoD (The Institute of Directors)の2003年12月の調査レポート(Business Finance 2004, IoD)によると回答企業の71%が資金調達に困難は無かったとしています。CBIが本年1月に行った調査 (SME Trend Survey, CBI January 2004) でもcredit もしくはfinanceの困難が事業を行う上で障害になったと答えたのは僅か3%に過ぎませんでした。

しかし英国の中小企業金融においては、4大銀行グループが80から90%のシェアを握っていると言われています。こうした寡占状態が中小企業の利益を圧迫しているという声が政府内部でも強く、政府は改革に取組んでいます。

英国の中小企業の資金調達は90年代初めには銀行借入が60%を占めていましたが、最近では52%にまで低下してきました。

ただし、4大銀行グループはいずれも中小企業に対し、総合金融サービスという名目で経営者の個人預金口座も含め一行独占し、その企業のキャッシュ・フローを完全にモニターできる状態にすることにより、与信判断を行う手法(これをAccount Behavior Scoringと称している)を取っています。したがって中小企業は銀行取引を4大銀行のいずれか一行に集中しなければ実質的に銀行信用を確保できない状態になっています。この結果、大企業の多くが複数行と取引しているのに対し中小企業の8割は取引銀行が一行のみとなっています。

4大銀行グループは中小企業に対し独占的金融機関となることで、その中小企業の財務情報を独占的に入手し安定取引と高収益を実現しています。しかしこうした極端な寡占状態が中小企業の銀行に対する金利・手数料・与信枠の交渉力を弱め、収益を圧迫する要因となっています。


Source: Forum of Private Business, 'Private Business and Their Banks 2000'

上記グラフのように4大銀行グループの中小企業取引占有率は82.7%と圧倒的な位置を占めています。

著者:戸田 洋正
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