欧州で快進撃を続ける日本企業の秘られた努力

第3回 英国ホンダ(3)〜欧州で快進撃を続ける日本企業の秘められた努力〜

保険事業の仕組み

ブローカーとの間で合意したのは、ホンダのディーラーを通じて販売し、保険にはホンダのブランド名を付けること。またコール・センターやクレーム処理会社も全てホンダのブランド名を使用する。消費者はホンダからホンダ・インシュアランスを買ったという安心感を与えることができる。一方ホンダは保険引受けそのものを行っている訳ではない。保険の引受けは不特定多数の保険会社のなかから最も低価格な保険料を提示した会社に引き受けてもらっている。

ブローカーの役割は不特定多数の保険アンダーライターから最も安い保険を見つけ出してくることである。そのために絶えず保険市場をウォッチしている。一方ホンダは一定量の顧客をブローカーに保証する。その結果、ブローカーの見つけてくる保険は多くの場合、消費者が直接ブローカーに交渉して得る保険よりも安価である。なぜならホンダがまとまった量のビジネスをブローカーに保証しているので、ブローカーはアンダーライターとより有利な交渉が可能となる。

ホンダの二輪車製品を購入する消費者は既にホンダ・ブランドを受け容れているのでホンダ・インシュアランスを購入することに全くためらいは無い。むしろパッケージとして購入する簡便性を感じてくれている。

【ホンダ・インシュアランスの仕組みの図】

消費者はホンダ・ディーラーを通じて申込むか、あるいは各種モーターサイクル・マガジンの広告等を通じウェッブサイトにアクセスするダイレクト・マーケッティングによってホンダ・インシュアランスに申込む。ホンダ・インシュアランスなる保険会社は存在しない。ブローカー/コールセンターがブランド名として使用。

申込みを受けるとホンダ・インシュアランス(ブローカー)は市場から最も低率の保険を選び出す。保険市場は英国とは限らない。保険料は顧客からブローカー経由アンダーライターへ行く。ブローカーは管理にかかるコストやClaim Agency, Facilities Agency のコストを負担するが、保険料の中からコミッションを受取る。ホンダ・ディーラーもコミッションを受取ることによりホンダ・インシュアランスの販売意欲を高める。

一方、ホンダ・モーター本体はこの保険事業から直接の収益は何も生まれない。しかし消費者に他社製品を購入した場合よりも安い保険を提供でき、そのことにより他社との差別化をより一層進め、しかも保険リスクは一切取らずに二輪車の販売促進を行える。

ブローカーがホンダ商標を使用するについてホンダは一切使用料を徴収しない。それはブローカーやディーラーのコミッションも含めてあらゆる保険にかかるコストを可能な限り低く押さえ、最も低価格の保険を消費者に提供することがこの事業の主たる目的だからである。

著者:戸田 洋正
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