欧州で快進撃を続ける日本企業の秘られた努力

第5回 英国ホンダ(最終回)〜欧州で快進撃を続ける日本企業の秘められた努力〜

今後の展開

今後2〜3年間の成果を見たうえで他の製品分野、ボート・ATVにも広げてゆきたい、とマシューは夢を膨らます。その時の判断基準は、(1)当事業のすべての関係者に利益・メリットがあること。(2)継続的に新規保険契約が取れていること。(3)保険の既契約者の契約更新率が高いこと、だという。

保険事業のメリット

プロジェクトのスタート前には保険事業は、廉価保険をホンダ・ユーザーに提供することによる販売促進が唯一最大のホンダにとってのメリットと考えていたが、今はそれ以上のメリットを得ているようだ。それは詳細な顧客情報が入手できること。保険の申込みを受けるときに、年齢、住所、職業、運転歴、運転免許、使用目的、予想マイレージ等々詳細な顧客情報を入手することができる。この豊富なデータから、例えば顧客1万人中にいったい何人の弁護士がいるかといったことまでキーをひとつ押すだけで分かる。マーケッティングを行ううえでこの情報の価値が如何に大きいかを今更ながらに再認識したという。

情報はブローカーからホンダに定期的に提供される契約を結んでいる。一年後、顧客が保険契約を更新する時には更に詳しい情報を入手できる。実際過去一年に何マイル走ったか。レジャー目的だったか。長距離のレジャーか。どの種類の二輪車を日常使用しているか等々、実に豊富で質の高いデータベースができてくる。

問題点

FSA(英国金融監督庁)の監督が急に極めて厳しくなったため、当保険事業を開始したときは必要なかったが、今後は保険販売に関わる者は全てFSAの承認を受けなければならなくなる。ブローカーは当然としてもディーラーも受ける必要がでてくる。これはディーラーにとって時間もコストもかかるので非常に評判が悪いが、英国で二輪車事業を行ってゆく上で避けては通れない道だ。「しかし一度承認を取ってしまえばそのディーラーは今後自由に保険販売に関わることができるので、長期的に見れば彼らにとっても有利なことだと思う」とマシューは話してくれた。

日本人の経営トップだけでなく各部門の担当者のこうした弛まぬ努力が欧州の「元気印日本企業」を支えている秘密であるようだ。

著者:戸田 洋正
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