アメリカ通信−シリコンバレーの風−

シリコンバレーの風 Vol.6

近年、インドや中国に多くの仕事が移されたと報道されるシリコンバレー(以下 SV)ですが、見かけの景気はそんなに悪くありません。ガソリンの高騰にもかかわらず、今年のクリスマス商戦は昨年度よりかなりよさそうです。従業員数を含め、それなりの調整が企業サイドでは終わったのかもしれません。

会社のクリスマスパーテイもほとんど復活し、ホテルなどの予約も堅調です。多くの若い女性はパーテイが終わると、ドレスの裏に隠していたタグを表に出して、レシートを添え、買った店の返品の列に並びます。クリスマスシーズンが終わると返品の列のラインが増えるのが常で、店側も淡々と返品に応じます。こうして見かけ上の12月の売り上げは翌年1月、大きく調整されることになります。

年末になると税金対策の金融商品や、退職後の生活プラン設計のアドバイス、サービス広告も新聞やテレビで毎日積極的な宣伝を繰り広げます。どの銀行もネットで行えるサービスの提供には特に熱心です。

当地SVに対する、日本の銀行からのシステム改良やさまざまな新しいサービス提供、セキュリテイ強化の依頼が増えているようです。全般的に日本の銀行界の大きな変化を感じます。

本年度、米国内での日系の金融機関、メーカー、商社向けのシステムをサポートする独立系システム構築会社S社のM&Aを仲介しました。S社の株主及び経営者は日系であり、S社の経営権を取得したのは、同じく日本の上場システム構築会社I社。全米展開のために既存のS社を傘下におさめる事で時間を買った訳です。 引き続き経営に携わる、買われる側のオーナー経営者の株をモチベーションのために全株数の10% 以上残しました。経営者が同じ日系同士なので問題は少ないだろうとの予測は大きく外れました。

予算の策定の仕方、予算に基づく実行のやり方、経営トップの評価システム、総てが違いました。日本の親会社が阿吽の呼吸で依頼するシステムの委託業務には、正式の発注書や、上手く行かなかった場合の契約条項さえなかったのです。一年間年間の決算を締めくくる今月になって、親子会社間の戦いが始まっています。米国での日系向けではトップシェアを誇るS社の責任者にとって、お客であろうと親会社だろうと仕事上の条件で差をつけられません。親会社であるとの緩みから、利益率を下げて仕事を請けたりすると早速、移転価格税制の問題が出てきます。例え親会社であろうとも米国での独立した法人、企業として税当局から認められるには、親子の間であろうとも客観的にアームスレングス、(少なくとも手の長さ以上、に象徴されるような会社間としての独立した経営判断基準。)がなくてはなりません。

最近のスタートアップ起業家にとって、良い値段で大手に買い取られるのは胸を張って誇れる成功例、成功出口です。しかしながら一緒になった後の成功例が少ないのは、統計資料が公表されないこともあり、あまり知られていません。より一層の事前調査が必要なことは言うまでもありません。当地では、結婚前に一緒に住んでみて、本当に上手く行くかを試すカップルが増えています。(このおかげで離婚率が増えていないとの説もあり)
企業の場合、簡単にそこまでやれないのが悩みです。

著者 : 道高幸彦(みちたかさちひこ)−Sachihiko (Mike)Michitaka

シリコンバレー在、Ocean Seven Consulting, LLC ファウンダー & CEO.
日商エレクトロニクス(株)顧問役、(日商エレクトロニクス米国会社ボードチェアマン)。在米19年、2000年夏よりシリコンバレー在住。

米国IT会社マネジメント兼、コーポレートベ ンチャーキャピタリス ト(CVC)。 IT分野で数々の投資及び,日本市場での米国先端IT製品の販売を成功させている。 数多くの日米会社経営を経験、また地元シリコンバレー地区青少年更正センター理 事 などのボランテイア活動の他、CVCや経営指導者として日系起業家支援を続けている。

2005年6月末、日商エレクトロニクス常務執行役員及び米国法人社長を退任。
同年、7月シリコンバレーでマネジメントコンサル会社Ocean Seven Consulting, LLCをファウンダー・CEOとして設立。

1992年: 日商岩井米国法人 副社長
1996年: 日商岩井 情報産業本部副本部長
関係会社担当。ニフティ、インフォコム,フュージョン等の役員を歴任。
同志社大学卒、ハーバード ビジネススクール PMD コース修了
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