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将来的な取引拡充を目指してフードセレクションに取り組む

十八銀行 ソリューション推進部 ビジネスサポートグループ 業務役 川崎 弘 氏

地産都消を目指して

この数年間、フードセレクションの出展社を数多く集めることができているのは、長崎県の将来的な人口減少が明確であり、それを私たちが事業者に伝えているからだと思います。県内人口が減少すれば、当然県内の消費も減少しますので、県内の事業者は県外に新たな販路を求めていかなければ、事業の衰退を余儀なくされてしまいます。そこで、東京への販路開拓を一つのターゲットとして、私たちは事業者の方々に常々「地産都消を目指しましょう」とお伝えし、販路開拓の手段の一つとしてフードセレクションに参加していただいています。

東京では多くのモノが消費されるだけではなく、最先端の情報も集まっていると思います。ただし、長崎県の事業者が何度も上京するのは大変ですので、私が代わりに定期的に上京して、最新のトレンドなど、東京で得た情報をフィードバックするようにしています。そうした取組みのなかで、事業者に対して「少し長期的な計画を立ててモノづくりをしませんか」と提案し、事業者が計画を立てて県外へ販路を開拓していくよう意識づけを行っています。

常に課題や目標を共有し、目的を明確にする

商談会に参加する事業者とは、常に課題や目標を共有しています。例えば、バイヤーの名刺100枚獲得が目標だった事業者に対しては、「次はその名刺100枚うち、最低10社のバイヤーと再交渉しましょう」という目標を設定します。そのようにして事業者が常に課題や目標をもち、それを共有していることが非常に大切だと考えています。

また、フードセレクションを一つの軸にして、一年間かけて出展社のサポートをしていますが、各出展社に対して、その年の商談会に参加する目的を明確にしていただいています。例えば、今年は商品のデザインを少し工夫するのか、味にこだわるのか、新商品のマーケティングを目的にするのかなどです。参加目的を明確にした上でフードセレクションに向けて準備を進め、商談会が終わると、私たちが次開催へのステップアップに向けてしっかりとフォローをしていきます。

バイヤーとの切れない関係づくり

この数年間は、事業者の方々にバイヤーとの関係づくりにも意識して取り組んでいただきました。自分たちがPRしたいバイヤーにフードセレクションの会場に来てもらい、さらには自分たちの商談ブースまで来てもらうために、5月頃からバイヤーへ連絡していただくなどして、事業者とバイヤーの関係が年間を通して切れないよう取り組んできました。

商談会を楽しむための企画

世界流しそうめん協会による流しそうめんの実演など、フードセレクションで行う企画は「なるべく商談件数を上げたい」「バイヤーに立ち止まってほしい」という想いと、来場者、出展社、主催銀行の全ての方々が楽しめるようにという想いから誕生します。商談会が朝から夕方まで2日間続けば、誰しも途中で疲れが出てくるのが普通だと思います。そのような中で全員が気軽に参加できて、一際目を引くような企画ができれば、会場内は盛り上がり、良いリズムが生まれると思います。そのため、企画は参加する人、企画する側全ての人が楽しめるようなものを考えるようにしています。企画に携わる人全員が楽しむことができれば、その周りには自然と人が集まり、出展社にとっても絶好のPRに繋がると思いますので、これからも色々な企画を考えていきたいと思います。



将来的な取引拡充を目指してフードセレクションに取り組む

フードセレクションなど、ビジネスマッチングのサポートをして取引先の成果が上がったとしても、すぐに十八銀行の預金や融資取引の残高が増えるわけではありません。ただし、それらの機会を通して取引先が成長し、数年後に工場新設などの設備資金需要が発生した場合には、十八銀行からの資金調達をメインに検討していただけるような信頼関係を構築できていると感じています。

今では、十八銀行からフードセレクションに参加する事業者の約7割はコアメンバーとなっていますが、最近は事業者の方から「次回の商談会では、このような取組みができないか」といった相談やアドバイスを受けることもあります。このように取引先と良好な関係を構築し、将来的には銀行取引の拡充に繋がるよう取り組むことが重要だと考えています。

取材日:平成30年1月19日

※金融機関ドットヨム32号18ページに記事が掲載されています。