TOP > 連載 > 金融リテラシー調査

第2回 「分散投資」と「長期投資」はどの程度理解?|金融リテラシー調査

著者:金融リテラシー研究所

 投資信託の基本は「分散投資」と「長期投資」です。この2つのしくみによって投資リスクのコントロールがなされています。では、投資家はどの程度、「分散投資」と「長期投資」を理解しているのでしょうか。
●「分散投資」の説明として「複数の資産に投資」と正しく答えた人は6~7割
●「長期投資」の説明として「税制面の優遇」を間違っていると答えた人は42.7%

 「分散投資」の説明では、毎月分配型投信のみ経験者の正答率は62.8%だったのに対して、毎月分配とそれ以外の両方の経験者は正答率が71.1%と高くなります。一方、「長期投資」の説明では、投資信託のみの経験者の正答率が42.7%に対して、投信と株式の両方の経験者は正答率が48.7%と高くなっています。
2007年9月に施行された金融商品取引法では「適合性の原則」と「事前説明の義務」の遵守を定めています。事前説明の義務では、商品のしくみやリスク、手数料など、顧客の投資判断に必要な情報を説明している書面を交付するとともに、形式的な対応にならないように、顧客の知識や経験などの照らして理解してもらえる方法や程度で書面の内容を説明する必要があります。
しかしながら、上記の数字を見るかぎり、十分な説明がなされているとはいえないようです。投資信託協会のアンケート調査でも、販売員の説明・勧誘方法についての不満の理由として、
(1)投資経験に応じた説明をしてほしかった(31.0%)
(2)説明が多すぎてポイントが理解できない(29.3%)
(3)商品の魅力の説明しかなかった(24.1%)
――が挙げられています。
顧客のリテラシー・レベルに応じた販売をおこなう「リテラシー・マーケティング」の必要性はここにあります。


(2010/10/15 掲載)